言葉はきちんと出し惜しみしないこと。
言葉はきちんと出してあげること。時々逃げて言ってしまうことがあるけれど、
そうなってしまったら無理に追いかけずに、また別の機会を伺うだけのこと。
フィンランドの本屋さんで、フィンランド生まれの大人気作品であるムーミンの本を買ってきた。帰りの飛行機で読みながら、旅の余韻に浸ろうと決め込んで。。
その本は、ムーミンの親友であるスナフキンの話から始まった。彼は、ちょっと達観したようなことをいう、旅人。ハーモニカを吹くことが趣味で、よく歌を作る。そんな彼が歌を生み出す過程が描かれている話だ。
スナフキンは、ムーミンの世界で唯一の人間で冬眠をしないので、冬の間は一人旅をしている。スナフキンは、ムーミンと過ごす時間が大好きで本当は一緒にいたいと思う反面、今にも紡ぎ出されそうなその曲は、一人でいないと生み出せないものだと言い聞かせて、一人で過ごしているという場面で始まる。今にも曲が生まれる!というそのときに、おしゃべりな小動物が割り入ってくる。歌は、生み出されずに遠のいてしまい、スナフキンはがっかりする。しかし、その代わりに小動物と出会ったことで違う曲が紡ぎ出されるという話だった。
この話には、孤独の時間と大切な人と過ごす時間とが別に存在することと、
それらから生まれる別々の奏でがあることをじんわりと感じさせてくれる。
孤独を感じているときに見えるもの、人とともに過ごすことで見えるものがある。
今となっては、ひどく孤独の時に見えた世界が懐かしくも思え、あの時に見えていた景色が見えないことに歳月の流れをおもう。
孤独の時に見えたものや出てくるものをリアルに描きだすことはどんなに思い返してもきっと当時にはかなわない。
だからこそ、リアルなココ!という時にきちんと紡ぎ出してあげよう。逃げてしまったら、無理に追いかけ回すより、潔く次へ行く。とにかくここぞの瞬間を捕まえて、紡ぎ出す、絞り出す。
言葉は、私にとって大切なもので、それはスナフキンにとってのハーモニカ。
なーんてね。
そんな世界観が生まれ、愛されるフィンランドに首ったけだ。