マレーシアのコインランドリーで、人生の面白さを発見したよ。

コインランドリーで話したインド系のおじさん、タクシーのマレー系ドライバーにボランティアガイドをするムスリム女性の方とのお話をしていて思ったこと。

人生って面白いなあ。日本で生活していると、こうしなければならないとか、これが幸せであれが不幸せでとか思うことが多い。ついついそういう方向性に行きがち。けれど、そんなことはないんだろうな。を考えた。

 

 すでにカンカンに照りつく太陽光で、焼かれてしまいそうな、朝10時。

大きなスーツケースを引いて、宿を後にし、コインランドリーにて洗濯をする。

洗濯・脱水で1時間半くらい。特に、ほかに行く場所も周りにはないし、中国の旧正月で、どこもお店が閉まってる。よし、これは待つしかない。

 

私が待つ間に、近所の住民が代わる代わる、洗濯機を利用しに訪れる。どうも、このコインランドリーはインドネシア人のオーナーが営んでいるようで、インドネシア系の人々が良く利用しにきている。多くの女の人たちが、大きな洗濯かごを持ってやってきては、洗濯物を投げ入れたり、取り込んだり。そんな繰り返しをひたすら眺める、日本人。そのエリアは、リトルインディアと呼ばれる地域らしく、そんなところのコインランドリーに大きなスーツケースを持った、東洋人がいるのが不思議そうに眺められる。

私も不思議だなあと思いながらも、その人々が過ごす朝の日常を見ているのはなんとも落ち着く時間。

 

ほとんどの人が、洗濯している間はどこかに去って行く中、私以外にも洗濯機をひたすらじっと眺めながら待つおじいさんがいた。

 

じっと洗濯機を眺めながらも、人がきたり、真横の道路に車が通ったりすると、一緒にそれを見上げる。そんな時間が10分くらい過ぎる。

 

 

なんだか、親近感が湧いてきて、思わず顔を見合わせてにこっと笑顔の挨拶。

 

おじいちゃんから、話しかけてきてくれて、話が膨らむ。インドで生まれて、仕事のためにインドからマレーシアにやってきて、稼いで、家族ができて、子どもや孫に恵まれて、そして退職して今に至るまでの50年以上ものおじいちゃんの歴史。

 

僕は、昔は銀行でたくさんお金を稼いだんだよとか、娘が二人いてねえとか。

 

若い娘はねえ。

 

よく駆け落ちするでしょ。

(初耳!笑笑)

 

でもね、そんなことはよくあることだし、どうせ泣いて帰ってくるんだから、どーんと構えて家で待っていればいいんだよ。って。

 

最後は、人生を楽しむんだよって言い残して、洗濯カゴを抱えて帰っていくおじいちゃんでした。

洗濯の時間がこんなに夢見心地に感じたのは初めてだった。時差ボケのせいで頭がぼぉっとしていたので、なんとなくおじいちゃんの存在すら夢の中で出会ったんじゃないかて思えてくる。 

 

二人目に人生楽しんじゃえを教えてくれたのは、タクシーの運転手のおじさん。

 イスラーム圏の国に来たのが初めてだったので、ショートステイでもモスクに行きたくて、KLから有名で近いプトラジャヤ、通称ピンクモスクに。


マレー人の友人によると、マレーシアはタクシー料金が安いから、みんなタクシー使うんだよ!らしい。


タクシーに乗り込んで、

僕はねえ、昔は大学の図書館で仕事をしていたんだよ。

仕事を引退してね、この仕事をしているんだ。 

 

この仕事は、楽しいよ。いろんな人に出会えるんだ。

でもねえ、二年後にはここに電車が通るからタクシーはいらなくなるんだよねっ

 

てなぜか陽気に話す。そして、新しい電車が通る頃に、また遊びに来るといいよって。

おじさんの仕事は無くなっちゃうなんて、ぜんぜん構わない様子だった。おじさんは、自分の仕事がなくなってしまうことなんて目先のことよりも、その電車ができることによって、自分の好きな街に大勢の人が来てくれるようになることの方が嬉しいよう。

 

今を楽しみつつ、目先の心配にとらわれず、その先の未来を見つめるおじさんでした。

 

(残念なのは、運転してたから、そのおじさんの顔をあまり覚えていないこと。)

 

三人目は、モスクで観光客相手にツアーガイドをする女性の方。

普段は、教育行政のお仕事をしている真面目さと温厚さがにじみ出るような人。

 

仕事しながら週末はガイドしてるのよ。とっても素敵でしょ?

 

まあ宗教って強制するものではないけれど、私にとってイスラムは美しい教えなのと語る。

 

彼女のイスラムに関するお話は、宗教勧誘とは違った。彼女が宗教の中で育ち育まれた価値観や哲学のお話だった。生まれたときから、ムスリムの教えの中で育ち、彼女の信念でムスリムの教えを丁寧に語る。だから、私は30分もの間、彼女のお話を聴き続けてしまっていた。いつの間にやら観光客の入れる時間は過ぎていて、まだまだ聞き足りないって思えたほど。

 

 どーんと構えている人々の生き方って素敵だ。

 聞いていて楽しかったし、何より長いこと人の話を聞いていたのに疲れることがない。アザーンを聞きながら、モスクの目の前の広場で思い思いに過ごす大勢の様々な人々の中で座っていたら、とっても心地よかった。様々な人がそれぞれの生き方を歩んでいて、私が思っている以上にみんな前へ前へ向かっている。イスラームの教えでは、神はこの世のすべてを創造する絶対的なパワーなのだという。そして、困難なことは神が与えた試練であり、乗り越えていくことで強くなれるのだと。こうして広場に座って多くの人生に囲まれていることを思うと、絶対的な力の存在を何か感じずに入られない。こう思うことはよくあるけれど、怖さではなくてワクワクする面白さが勝っていた時間だった。

 

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